カスタムインソールによる出力向上と制作技術を習得した話




今回は、私が一年前から使用し始めたカスタムインソールについて話をしたいと思う。
世の中にはSIDASやSoleStarといった、様々なブランドのビンディングシューズ用のカスタムインソールが販売されている。
私は正直これらの製品は、マーケティングが上手なだけでそれほど効果のあるものだとは信じていなかった。
良くフレーム等で、先代の○○%空力や剛性が向上しましたという謳い文句があるが、それが目に見えて分かるほどの効果というのは体感する事がそれ程簡単ではないように、インソールの効果と言うのも同様の物だと思っていたのだ。
そんな私であったが、たまたま知り合いでカスタムインソールを作成している寺本氏(スポーツ科学研究者で、箱根ランナーやオリンピアンも排出しているクリエイティブランニングを運営)から、丁度1年程前にカスタムインソールを試してみないかとの話を頂いたので、物は試しと作成してもらったのが最初となる。
そこで、ここ一年で感じたカスタムインソールについて細かく話をしていこうと思う。




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・CreativeRunningカスタムインソールの科学的検証結果

早速だが、私が使用しているCreativeRunnnigカスタムインソールに、どの程度の効果があるのかズバリ数字を取り上げたい。
下記は私にカスタムインソールを作成してくれたクリエイティブランニングの寺本氏が、実際に提携している大学のスポーツ科学研究施設にて実施した、オリジナルのカスタムインソールと一般的なインソール(最初からシューズに付属しているインソール)との出力比較をした研究データだ。

500mタイムトライアルにてシューズ付属インソールに対してカスタムインソールを使用した場合、統計的に有意にタイムが短縮が認められた。平均で7.26%タイムが短縮。(Elite Fluid Primo Trainer 500mTT:shoes insole vs custum insole 32trials)
カーボンカスタムインソールでは8.48%の短縮が認められた。(Elite Fluid Primo Trainer 500mTT:shoes insole vs custum carbon insole 32trials)

寺本氏が作成するCreativeRunnnigカスタムインソールは2種類あり、非カーボンモデルのインソールで7.2%強、カーボンインソールで8.5%程度の出力向上が確認されている。
もちろん500mタイムトライアルなので、これがそのままロードレースで同じように出力向上が再現されるわけではないが、例えば個人の力量が大きく関係するヒルクライムやTTといったシーンでは大きなアドバンテージとなりえるだろう。
ちなみにこの数字は、既存の有名カスタムインソールメーカーの製品の数値を大きく凌駕している。
公表されていないので具体的な数字を書くことはできないが、某ブランドのトップモデルでも出力向上は5%程度にとどまる。
またこちらも公には公表できないのだが、プロスポーツ選手やトライアスロン大会優勝者も使用している。
CreativeRunnnigカスタムインソールの詳しい製品詳細についてはこちら

・使ってみた感想

・使い始め

1年前にカスタムインソールを作成してもらった時のことを感じたままに素直に書くと「今までのインソールよりフィット感が上がったなぁ」と思う程度であった。
私はパワーメーターやスマートローラーを使用していないので、カスタムインソール導入前後の個人出力を正確に把握しているわけでもなく、本当に素直にフィット感の向上を感じること以外はなかった。
ただ、脚の甲側の小指がシューズのアッパーに擦れていたことが解消できたというのは、それだけでも十分な効果だと思っていた。
そして一年間はその恩恵を直感で感じることなく使用してきた。

・シューズを交換した時

今年に入ってから使っていたシューズのへたり感じていたため、シューズを交換することになった。
そしてその時、初めてカスタムインソールの凄さを実感した。
新しいシューズはシマノのRC9なのだが、とりあえずそのまま使用してみることにしたのだが、走り始めて500mで違和感に気が付いた。
なんだか足裏がガタガタして力が入らないのだ。
カスタムインソールを使用していた時には感じることはなかった、シューズのソールと足裏との隙間が場所によって大きく違うことを感じることができた。
それは踏んでみるとより顕著で、踏み込むほどに力が逃げていく様な感覚だった。
少し物は違うが、高級なヘッドホンを試してから安価なヘッドホンを試した時に感じるような物足りなさの様なものとでもいえるだろうか。
実際に同じStrava区間をカスタムインソールが入ったシューズで3日前に走っていた時と同じ感覚で走っても、タイムは遅くなっていた(もちろんその時の体調の変化などもないわけではないが)
変えた時にそれまでの恩恵を大きく感じることができたわけだ。

・すぐに新しいインソールを作ってもらう

「これはまずい!」と感じた私は、すぐに寺本氏に連絡をして新しいインソールを作成してもらうことにした。
そしてやはりカスタムインソールをいれたRC9の踏み心地は、いままで使用していたシューズの様に包み込まれる様なフィット感で、足裏がガタガタしたり力が逃げていく様な感覚はなくなった。
もちろん交換後に走ったStrava区間では、交換前の同タイム又は更新という分かりやすい結果を得ることができた。
現在は、カーボンモデルも作成してもらい、非カーボンモデルとの違いも確認中だ。

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・カスタムインソールで出力が向上する理由

では、なぜカスタムインソールを入れることで出力が向上するのだろうか。
通常、靴のソールと足裏には大きな凹凸があるが、これをインソールを入れることでその差を埋めている。
ただし、シューズに付属しているインソールは統計データやシューズメーカーの理論をもとに作成されたもので、
万人に100%マッチするものではない。
例えば、70%は凹凸を埋められても、30%の凹凸は残ったままということになる。
その差をカスタムインソールで埋めてあげれば、その分力は入りやすくなるということだ。
分かりやすく例えるならば、バーベルを持ち上げようとしたときに、立っている地面に凹凸がある場合と凹凸のないフラットな地面では、後者の方が力がいれやすくより重い重量のバーベルを持ち上げることができる。
これが足裏でも同様に起こっているという訳だ。
良くペダルの謳い文句で「ペダルのフラット面が広く、伝達効率が高い」というようなことが言われるが、あれと同じことと考えても良いだろう。

・既存のカスタムインソールとクリエイティブランニング寺本氏のカスタムインソールの違い

では、私が使用している寺本氏のカスタムインソールと既存のカスタムインソール製品の違いはなんだろうか。
違いは大きく分けて2つある。

・個別のインソール型で熱成型を行う

寺本氏のカスタムインソール作成では、既にシューズに入っているインソールを基にその靴に合ったインソールを切り出す。
このインソールは、独自に開発した熱成型による形状記憶フォーム(又はカーボン)を使用しており、2~3回の熱成型を掛けることで、ユーザーの足裏とシューズのソールにある凹凸をほぼ完ぺきに埋めてくれる。
実際に作成したインソールを見てみると表側は自分の脚の形に、裏面はシューズのソールの形に見事に成形されている。
また、個別のシューズから型を切り出すためシューズ内でインソールがずれることがなく、効率的に力をペダルに伝えることができる。
より厳密にズレを防止する場合には、ソールとカスタムインソールを接着剤などで固定する。

・ペダルに力を掛けて成型を行う

既存のインソールの熱成型でありがちなのが、ユーザーが椅子に座ったり、立ち上がった状態で成形をすることだ。
しかし寺本氏によると、この方法ではペダリングをしたときの足裏を再現することができず、狙った伝達効率を達成することはできないということだ。
そこでインソール作成時は、ローラー台又は屋外の道路でペダリングを行いながら熱成型を行う。
そうすることで、ペダリング時の足裏をしっかりとカスタムインソールに記憶させることができるようになるわけだ。

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・非カーボンモデルとカーボンモデルの違い

さて、気になっている人もいるかもしれないが、非カーボンモデルとカーボンモデルではどう違うのだろうか。

・伝達効率の違い

まず、先に挙げたように伝達効率の違いは大きな違いとなる。
一分一秒を争うユーザーであれば1%の違いは大きな違いとなるので、カーボンモデル一択となるだろう。

・フィット感

しかし、ホビーレーサーやロングライドが主体という場合には、非カーボンモデルで十分だろう。
というのも、フィット感という点でいうと、非カーボンモデルの方がフィット感は大きいからだ。
カーボンモデルはベースがカーボンと言うこともあり、ソール全体の剛性感を高める一方で、包まれる様なやさしさには劣る。

・剛性感

また、出力が大きくないユーザーやダンシングを多用するユーザーも、非カーボンモデルの方が良さそうだ。
出力をペダルに伝えるダイレクト感は剛性のあるカーボンモデルの方が高いのだが、その分脚への跳ね返りも大きい。
付随してカーボンモデルは、比較的正しいペダリングが伴わないとペダリングを修正するような方向への反発があり、それが疲れやすさに繋がる様な感覚もある。

・価格と製品寿命

これも大きな違いだ。
非カーボンモデルは8,000円(税抜き)、カーボンモデルはオープン価格となるが、概ね3万円前後となる。
寿命は非カーボンモデルで高頻度の使用で1年程度、カーボンモデルは破損などがない限りは10年単位の寿命となる。
考え方次第ではあるが、シューズの交換サイクルが早い人や使用頻度が少ない人なら非カーボンモデルでよいだろう。
1秒でも速いタイムを求めたり、より剛性感の高いペダリング感覚が欲しいならカーボンモデルと言うことになる。

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・私も制作技術を習得したという話

おまけの話にはなるが、CreativeRunnnigカスタムインソールが素晴らしいと感じた私は、インソールの制作技術を学ぶことにした。
そしてこの3月に無事、制作技術を習得することができた。

残念ながらカーボンモデルの制作技術は高度なため、出先でも制作できる非カーボンモデルのみとなるが、現状このインソール自体、寺本氏と提携している東京近郊のショップ数か所でしか制作できないので、地方に良く出向く私としては、これを機会に多くの人にこのカスタムインソールを試してみてほしいと思っている。
今年は、行き先をどんどん公開していく予定なので、速く走りたい、楽に走りたい、カスタムインソールを試してみたいという方は、お気軽にSNSや問い合わせフォームからご連絡いただきたい。