今回は、初心者向けの記事を書く中で要望の多かった、自転車用語について取り上げたい。
世の中にはたくさんのロードバイク参考書的なものがあり、中には専門用語を分かりやすく解説している本もあるが、今回は無駄に情報を多くせず、初心者に必要となるであろう車体にまつわる自転車用語を、あいうえお順で取り上げていきたい。
(参考画像から各製品のAmazonページに行けます。一部リンク無し)
目次
フレーム各部の名称
あいうえお順にすると分かりづらいので、フレームの各部名称だけは先に記載しておく。
下の写真と見比べながら名称と内容を覚えよう。
エンド
前後ホイールのハブ軸が収まる部分。
幅にいくつかの規格があり、ロードバイクではフロントが100㎜、リア130㎜が主流。
ディスクブレーキが出たことで、更に規格が増えつつある。
シートステー
リアエンドとシートチューブを繋ぐ左右2本のチューブのこと。
この部分で振動吸収性を変化させることができるので、メーカーによって形状が大きく異なる。
ステアリングコラム
フロントフォークから突き出た部分の呼称。
前輪の軸となる部分で、ヘッドセット(後述)を介してフロントフォークとフレームを繋ぐ。
更に上部にはステムを装着してハンドルとも繋がる。
最近のステアリングコラムはカーボン製の場合が多く、ステム(後述)を調整する際に締め込みすぎると割ってしまう場合がある。
シートポスト
フレームとサドルを繋ぐパーツ。
アルミ又はカーボンが主流。
カーボン素材のシートポストを使用することで、軽量化だけでなく振動吸収性を上げることができ、快適になる。
ダウンチューブ
フレームのヘッドチューブとハンガーシェルをつなぐチューブのこと。
特にヘッド側はフレームチューブの中で最も力を受ける部分となる。
チェーンステー
チェーンと並行する、リアホイールを保持するフレーム後部の部分。
良くオイルの飛び散りで汚れる部分なので、こことチェーンを見ると自転車への愛が良く分かる。
トップチューブ
自転車に乗った時、下を見たら一番手前に見えるフレームの部分。前三角の上の部分。
走行中は汗が垂れやすいので、乗車後にはしっかりと拭いてあげよう。
ハンガーシェル
フレームのBBが装着される部分で、通称ハンガー。
最近まで高剛性を謳い、ハンガーシェルを肉厚でボリュームのあるものにすることが流行っていた。
現在は剛性の最適化で、以前ほど過剰な剛性はなくなりつつある。
フロントフォーク
前輪を支えるためのパーツ。
通常はフレームとセットになっており、単体で交換することは多くない。(昔は単体交換も良くあった)
以前は振動吸収性を考慮したベンドフォーク(緩やかに湾曲)が主流であったが、最近はカーボン素材で振動を吸収できるストレートフォーク(まっすぐ)が主流。
ヘッドチューブ
トップチューブとダウンチューブを繋ぎ、フロントフォークともつながる重要な部分。
粗悪品のフレームだと、こことダウンチューブを繋ぐ部分が破断したりする。
あ
アウター/アウター受け
ブレーキやシフトワイヤーの保護材(ケーブル)をアウターと呼ぶ。
アウター受けはブレーキやシフトワイヤーの端部に付くアウターカップ(ワイヤー保護材の末端部)を入れる場所。
最近のロードバイクフレームは、ワイヤーがフレーム内を通る内装式となっているものが多いので、アウター受け自体が存在しないフレームも多い。
アウターギア/インナーギア
ロードバイクでは、フロントギア(前のギア)は2枚のリングで構成されていることが多い。
このフロントギアの大きなリングのことをアウターギアと呼ぶ。
同じく小さいリングはインナーギア。
ギア比が一番軽くなった状態をインナーロー、重くなった状態をアウタートップと表現する。
アジャスター
直訳すると調整機構。
自転車には複数本のワイヤーが使われており、ブレーキや変速機とハンドルに付けられたブレーキレバーを繋いでいる。
これらのワイヤーは、使用しているうちに伸びてくるので、それらを調整するための仕組みがアジャスター。
ハンドルそばにある星型のネジや、変速機のそばにある樽型のネジがそれにあたる。
これを回すことで、ワイヤーの伸びを調整する。
なお調整量には限界があるので、アジャスターで調整できる範囲を越えたらワイヤーを交換することになる。
故障ではないので、自分で調整するか、買った自転車屋さんに持っていくと良い。(自分でやる場合には、ネジは少しずつ回そう)
インチ規格
ロードバイクは通常ミリメートル単位の規格が使用されるが、アメリカ製のMTB(マウンテンバイク)や古いロードバイクにはインチ規格が使われている。
この二つの規格には互換性がないので、使用する工具とネジはしっかりと(インチかミリメートルを)確認する必要がある。
誤って使用するとネジを舐めてしまい、非常に面倒なことになる。
インテグラルヘッド
最近では一般的になりつつあるヘッドセット(フレームとフロントフォークを繋ぐ機構)の方式
フレームに直接ベアリングを圧入することで、軽量化や高剛性化、ポジションの多様化に対応できるようなった。
通常いじることはほとんどない部分で、自転車によっては調整もシビアなので、ここがガタガタしてきたら自転車屋に任せるのが賢明。
か
キャリパーブレーキ
現在まで主流のブレーキシステム。
ホイールのリム(外周部)を挟み込むようにしてブレーキを掛ける。
メーカーと製品ランクによって制動力に大きな差があるので、エントリーモデルのロードバイクでは最初に交換したいパーツ。
クイックリリース
イタリアのカンパニョーロが発明した、工具を使わずにホイールとフレームを固定する金具。
メンテナンスやパンク修理の際に簡便にホイールの取り外しができる。
通常はホイールに付属してくるので、単体で購入することはない。
防犯上はホイールを盗まれやすくなるというデメリットもあるが、そこは地球ロックで回避だ。
クランク
両脚の回転運動をチェーンリング、チェーン、リアスプロケットに伝達し、駆動力に変換するための棒状の部品のこと。
クランクは、ロードバイクのパーツの中では重量物となるので、交換することで軽量化が図れる。
クランクにも長さがあるので、身長に合わせて選ぶと良い。(概ねの目安は身長170㎝ならクランク長170mm、165㎝なら165mmとなる)
さ
サイクルコンピューター
自転車の速度やケイデンス(クランクの回転数)、心拍数などを測る計測器。通称サイコン。
製品は多種多様で、メーカーやモデルによって計測できる機能も違う。
価格もピンキリで2千円程度の物から10万円近いものまで様々。
サドル
自転車のイスのこと。
自転車と身体が繋がる部分として最も重要。
サドルは種類が豊富で、「サドル沼」と呼ばれるほど自分に合ったサドルを探し回る自転車乗りも多い。
サドルが自分に合わないとお尻が痛くなり、場合によっては乗っていられなくなる。
ただし初心者の場合は、サドルが合わないことよりもポジションが出ていないことが多い。
自転車で最も高い位置にあるパーツなので、軽量なものに交換することでコントロール性やダンシング(立漕ぎ)時の挙動を変えることができる。
シーラント
シーラントとは、素材の間を埋めるための補間剤のことだが、自転車用語においてはパンク防止剤を意味する。
白いゴム系の液体で、チューブに空気を入れる前に適量注入することで、事前に小さなパンク(釘の踏み抜き等)を防止することができる。
ただしカットパンクの様な切り傷のパンクには対応できない場合が多い。
ステム
ハンドルとフロントフォーク(ステアリングコラム)を繋ぐパーツ。
ここの長さを変えることで、腕の長さや身長に対応する。
自分に合ったものを使わないと、短時間で肩や首が痛くなる。
スプロケット
後ろのギアリングを指す。コグともいう。
ロードバイク用の変速機が出始めたころは3枚前後であったが、現在では11~12枚が主流になっている。
段数が多いことで、走りやすい適切なギアを選びやすくなり、走行効率が上がる。
通常11-25T、12-28Tなどと表記してあり、間のギアの丁数(歯数)は調べる必要がある。
後ろのギアは大きい(丁数が多い)ほどローギアド(軽い)になり、最近では最大30Tのギアも登場している。
自動車の変速機も変速数が多いからと言って最高速度が高いわけではないのと同じだ。
最高速度は上がらないが、枚数が増えることで選べるギアが増え、走行効率が上がることで長い時間速い速度をキープできるようになる。
スペーサー
隙間を埋める物。
自転車の場合使用されるスペーサーは、ハンドルの高さを調整したり、ボトムブラケットとクランクの隙間を調整するために使われる。
これがないとガタが出て、最悪の場合自転車が壊れてしまう。
スルーアクスル
ディスクブレーキを採用した自転車で利用されるホイールの固定方法。
クイックリリースとは違い、アクスル(ハブを固定する軸)に切られたネジでフレームと固定する。
ネジではあるがクイックリリース同様、手での取り外しは可能。