ありがたいことに、今回の旅を始めてから200本の記事をアップすることができた。
これもひとえに、旅を応援してくれる方や記事を定期的に読んでくれる方がいるから成り立っていることで、ブログの感想やブログを参考に走ってみましたという声は、私が記事を書く一番のモチベーションになっている。
そこで今回は、旅を始めてからの感想や想いを率直に述べてみたいと思う。
とその前に、私がなぜこの旅をしているのか、その目的をしっかりと書いたことがなかったので、ここで説明しておきたい。
このブログは、ニートの私が全国の峠に登って情報を収集し、記事にしていく峠ブログだ。
このブログを始めたのにはきっかけと目的がある。
自分が自転車に乗って初めての峠を目指すとき、補給やルートに困ったことがあった。
STRAVAやルートラボを見れば標高や勾配など峠の情報は乗っているのだが、その峠に登る準備については情報を探すのに手間がかかったのだ。
例えば、既に私のブログではお馴染みの、ラストコンビニやラスト自販機といった情報だ。
ローカルなブログを見れば、なんとなく情報を拾うことはできるが、世の中の自転車ブログのテーマは「自分がこんなところにだれだれと行きました。こんなおいしいお店がありました」ということが主テーマであり、峠そのものをテーマにしたブログというのは多くない。
であれば、私が全国の峠に登ってその峠の子細な情報を伝えようではないか、と思ったのがきっかけだ。
また、登山をする人には日本百名山というバイブルがあるが、自転車でいざ知らない峠に行こうと思った時に参考にできるバイブル的なものは世の中にあまり存在していない。(あまりと言っているのは、CYCLO TOURIST 総力特集:日本の峠200選というものが過去には存在したが、現在は発行されていないからだ。ちなみにタイトルはこの特集名をパクったわけではない笑)
自分の家から自走で行ける範囲であればそこまで困るほどではないのだが、例えばいざ九州で自転車に乗りたいと思った時に、コースを探すというのは上記の通り結構な手間だ。(人によってはそれが楽しいという場合もあるが)
阿蘇の様に有名なスポットであれば、まだ自治体のサイクリングルートや個人ブログから情報を収集しやすいが、これが阿蘇以外になると難易度が高くなる。
個人ブログから峠名を拾ってGoogleMapとにらめっこしたり、ルートラボを見てみたり…ということになる。
またあの坂は激坂だったとか、そんなにきつくないとかいった曖昧なそれぞれの主観情報ではなく、私という一つの基準を通して峠の難易度を表現できれば、更に分かりやすくなるのではないかと思ったのだ。
またヤビツ峠や和田峠といった有名な峠(それでさえも関東圏の話だろう)であれば詳しい情報も多く転がっているが、日本全国には知られていない峠がまだまだたくさんあり、そしてその峠が自転車乗りにとって魅力的な峠なのかどうかの情報はほとんどないのだ。
そしてその峠が魅力的であったとしても、地元にいる人は実はただの山道としか認識していないので、それが観光資源になるとは思っていない。(地元の自転車乗りにとっては、My峠であって発信するものとは考えていないこともあるだろう)
私のブログは、こういった魅力的な峠の発掘も目的としている。
もしこのブログを見て、そこに足を運んでくれる人が一人でも増えれば、その峠のふもとには少しでもお金が落ちる。
そして大部分の自転車乗りとは、それなりのお金を使う優良観光客なのである。(このことに気付いている自治体は増えてきているが、まだ多くない)
そういった地方活性化に、少しでも自分のブログが貢献できれば良いと思っている。
(ちなみに、応援ファンドも同様に地方にお金を落とすという目的を持っている)
個人的なことを書くと、私は人生において今まであまり人の役に立つようなことはしてこなかったと思う。
性格的に、自分が楽しくないことには積極的に参加しなかった。
でも誰かの役には立ちたいと考えた時に、自分が楽しんで人の役に立つことって何だろうかを実行してみたら、こんな謎なことになってしまったのだ笑
いつかこのブログが日本中(できれば世界中)の多くの自転車乗りに見てもらえるようになり、あの峠に行ってみようと出かけてくれたら、このブログの目的は十分に達成されたということになるだろう。
さて、長い前置きになってしまったが、まずタイトルにある「で、実際のところ旅をしてみてどうなのよ?」という話だ。
これは一言でいうと「思っていた以上に時間がかかることを始めてしまったなあ」というのが率直な感想だ笑
なんだそりゃ?とお思いかもしれないが、私の計算では当初350峠を目安に考えて「3日に2峠走れば、2年で終わるかな」と大体の予想をしていた。
しかし実際には、雨や強風、路面凍結等で走れないこともあれば、その地が心地良すぎて長居してしまったり、モチベーションが上がらず走れないこともあると分かった。
結果、今では3年目への突入は確実なものになりつつある。
天候については致し方無い部分もあるが、モチベーションというのは殊の外重要で、この旅はあくまでも自分との会話であって、期限もなければ、350峠は大体の目安で、最初から決めた峠があるわけではなく、曖昧なゴール設定の上に成り立っている。
何かの大会に出るための練習でもなければ、だれかと待ち合わせをしてふ走るわけでもない。
明日走らなければその峠がなくなってしまうわけでもない。
となると、「まあ今日は休憩、休息も大事だよね」というサボり根性が顔を覗かせるわけだ。
それはただ意志が弱いだけなんじゃないの?というのはもっともなのだが、一人でやっているとなかなか解消できない問題でもある。(もう人間として意志が弱いのは重々承知なので、これ以上は叩かないでほしいところだ笑
また、長居をすることもあるだろうということは多少想像していたのだが、日本にこれほど多くの心地よい場所があるとは、ある意味日本再発見の旅になっている節がある。
しかし一方で、時間が掛かっているというのは良い点もあって、多くの出会いを生んでくれる。
出会いで一番楽しいのは、人との出会いだ。
ローディやアスリートといった人たちはもちろんのこと、銭湯や温泉に行くだけで日焼け跡から地元のおじさんとの会話は自然と盛り上がる。
「おにいちゃんはきれいに焼けてるけど、サーフィンでもやってるの?」この話掛けられ方は一番多い。
風呂というのは不思議なもので、俗に言う裸の付き合いが初見から始まるので、何も臆する必要がない。
しかも向こうは新しい話を聞きたがっているし、こちらも地元の情報を欲しているから、会話は自然と弾む。
ありがたいことに、私は小さなころから実家の飲食店でおじ様方から話相手をさせられてきた(私自身もそれが楽しかった)ので、そういう人たちと話すことが苦ではない。
また出身を聞かれれば、天気予報で名前が出てくる暑い所なので、場所も分かってもらえる。
そこは今の家に生まれてよかった、と心底思うところである笑
もちろん峠で話しかけた自転車乗りなら、多くの人は私の旅に興味を持って話が弾む。
バカですね、変態ですね、そんな誉め言葉から人と繋がれる世にも奇妙な体験である。(本人たちはそれが奇妙だとは思っていないが)
出会いと言えば、食事もその一つだろう。
やはり美味しいものは、人を幸せにしてくれる。
自転車に乗ってお腹が空いていればなおのことである。
東京にいれば、ブランド化された肉や魚、野菜など今や大概のものは食べられる。
しかし自分で足を運んで食べたその土地の味は、やはり東京で食べるより新鮮で確実においしい。
そして、その場でしか食べられないという物は未だにあり、そういう食べ物と出会った時の幸せはひとしおである。
また食事の出会いは、同時に人との出会いを生む場でもある。
私が出会ってきた人たちを振り返ってみれば、それは食事が生んだ出会いが最も多かったと思う。
こういう出会いは私にとって最も強く記憶され、この旅で得ている一番大きなものだ。
最後の出会いは、景色との出会いだ。
一年中自転車に乗っていると、様々な景色と出会う。
一日一時として同じ景色はなく、毎日違う景色に出会う。
カメラでは伝えられないような景色も多く見たし、綺麗な夕日はずっと見ていても飽きない。
景色というのは目で見たものだけではなく、その場の匂いや風や感覚的なもの、自分の感情等すべてが混ざり合ってできているようだ。
今やネット調べればすぐにその土地の景色を見ることはできるが、実際に見る景色とは、壮大で美しく感動的なのだと改めて気づかされてる毎日だ。
さて、ここまで少し感情的な話をしてきたが、「実際のところ旅をしてみてどうなのよ?」という点で誰もが気になっているであろう、お財布事情についても話をしたいと思う。
まず以前書いた記事に、一日の予算は3000円と書いたことがある。
これは今現在でも変わりなく、出会いや特別なグルメを楽しむ以外、この予算を大きく外れることはしていない。
つまり一年で110万円程度の予算内でやりくりできていることになる。
この旅を始めるにあたり前職を辞めるまでに、2年と予備で1年は旅をできるように貯蓄をしてきたので、今のところ想定の範囲内といったところである。
前述している通り、既に旅は3年目への突入が目に見えているので余裕があるわけではないが、いざお金が無くなれば農作業でも何でも手伝ってお金を作ればよいので、そこはあまり悲観していない笑
またありがたいことに、応援ファンドでの支援や消耗パーツの直接支援を頂くこともあり、最も心配していた自転車の維持については、快調を保つことができている。
唯一残念なことと言えば、操縦ミスにより私の機材の中では最も高額なドローンを失ってしまったことが、大きな痛手である。
10万円を超える金額を再度捻り出すのはなかなか頭の痛い問題で、現時点でも(脳内)稟議中であり、予算承認は認められていない。
ただ一人旅の記録を残すのにこれほど便利なものはなく、どうにか新しい機材の調達を進めたいのも事実である。
そういう意味で、現在FBを通して「ドローン購入支援ファンド」を行っており、この記事を読んで賛同、興味を持っていただける方がいれば、ぜひご協力いただけるとありがたい限りである。(ご興味がある方は、FB又は問い合わせフォームよりご連絡ください。なお、FB以外でお問い合わせの際はPCメールから返信可能な設定をお願い致します)
次に、このブログでしか私を知らない方が疑問に思っているであろうことを書きたい。
先ほど一日3000円で生活していると書いたが、私はこの冬ひと月ほど沖縄に滞在(バカンス)していた。
また4月にも1週間ほど宮古島に滞在して、ブログの更新をサボっていた。
沖縄について書いた記事と言えば、宮古島、沖縄南部のサイクリング事情と、沖縄の猫事情だけだ笑
仮に高い飛行機代と宿代を出して沖縄に取材に行ったとしたなら、これはあまりに成果物が無さ過ぎではないだろうか、と思うかもしれない。
実はこの沖縄行きは、2月も4月もトライアスロン関係のお手伝いで行ったのだ。
こう書くと、何かトライアスロン関係に精通した方なんですか?と思われるかもしれないが、そうではない。
私自身は、会社員時代にちょろっとトライアスロンをやっただけの「なんちゃってトライアスリート」なのだが、それが縁で多くの凄い人たちに出会うことができた。
凄い人たちというのは総じて忙しい人たちで、私の様な時間を持て余した人間の手さえも必要とする時があり、そのタイミングがたまたま冬に沖縄に行く機会を作ったという訳だ。
私にも驚きなのだが、人間何があってそんな人たちと繋がることがあるかわからないものである。(私自身は本当に何も持ち合わせていないニートだ!)
もし凄い人たちと出会いたいと思ったら、飲み会になんか行っていないで、トライアスロンを始めることを強くお勧めする笑
最後に、現在までの「実際のところ旅をしてみてどうなのよ?」についてまとめてみたい。
旅自体については、細かい機材トラブルや旅先での停滞などはあるものの、自身の怪我や、事故を起こしたり巻き込まれたりといったことがなく、概ね順調に進んでいる。
金銭的にも、とりあえず今のところは生活に支障はきたしていない。
旅を始めてからの自身の変化としては、色々な人に会うことで笑顔になることが増え、また何をするにしても心にゆとりが生まれた気がする。
これは追われるものがなく、色々な人の親切や、やさしさに触れることができているからだと思っている。(本当にありがたい限りだ)
身体は至って健康である。
風邪気味になったことが一度あるが、それ以外に体調を崩すことはない。
夏も冬も空調がない場所にいることの方が多く、精神的ストレスもないので、体が弱ることがないのだと思われる。
ブログの集客数は当初想定していたよりも下回っている。
すぐに成果が出るものではないとわかっているし、当初と比べればPV数は大きく伸びている。
ただこれは、私自身ブログのアピールが足りないということが大きい。
もっと多くの人に出会い、知ってもらう必要があるだろう。
記事の内容が峠のプロファイリングなので、どうしても内容が単調になりがちで、ここももう少しどうにかしたいところだ。
この記事を読んで「こうするといいんじゃない?」や「こんな特集をしてほしい」、「このスポット(峠に限らず)を記事にしてほしい」など、今後の参考にさせていただきますので、どんなご意見・ご感想でも頂けますと幸いです。