埼玉6本目の峠は石間峠(標高950m)である。
この峠は「え、登らないんですか?的峠」といって良いだろう。
地図で調べたときはマイナーな峠でそれほどのワクワク感は抱かなかったが、登るうちに「これだ!この感じだよ!」と楽しくなる峠であった。
言うなれば、優等生に混じって現れる悪ガキのようなピリリと辛口な奴だ。
まず入り口からして分かりづらい。
そして林道のため路面状況も芳しくない。
そして斜度がきついという峠だが、一方で坂バカとしては歓喜の瞬間である。
一通り喜びを表現したところで、早速峠の状況を説明していこう。
・峠スペック
坂バカ度:★★★★★★★☆☆☆
景観: ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
路面状況:★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
距離
10.5km
最大標高差
753m
平均斜度
全体:7.1%
上り:8.2%
下り:1.8%
獲得標高
上り:757m
下り:8m
・補給ポイントについて
上記で述べた通り、峠の入り口がわかりづらいので注意したい。
補給としては秩父方面から見て龍勢橋の数百メートル手前にはセブンイレブン(イートイン有り)と道の駅龍勢会館があるので、補給については問題ない。
ちなみに道の駅龍勢会館では秩父名物の蕎麦や石窯で焼いた酵母ピザが食べられるお店もあったので、がっつり食べたい場合にはこちらが良い。
なお道の駅には自転車ラックもある。
・実走レビュー
登り口から3㎞ほどは勾配も比較的緩く、きつくなっても8%程度なので後半を考えてあまり無理をせずゆっくり行くと良いだろう。
問題はそこから先で基本的には峠の頂上まで平均8%強の登りが7㎞ほど続くこととなる。
峠を進むと将門の里という看板が見えてくるが、ここが峠全体の約3分の2となる。(ちなみに将門の里の方へ入ると、入り口から20%程の斜度で200mほど進むと行き止まりとなる。バブル期にできた別荘住宅のようで、廃墟となっていた。)
7㎞の平均斜度が8%ということで体感的には常に10%以上のイメージとなり、最大傾斜は最大20%程度となる。ただし傾斜のきつい登りの後は少し傾斜が緩まるので、こういったところでしっかり呼吸を落ち着けよう。全体を通して耐える走りが必要となるが、できるだけマイペースに徹して後半にスパートをかけるといいだろう。
城峯山神社の石碑が見えたらゴールは目前だ。ここから先は傾斜も緩いのでラストスパートしながら右へ進もう。
ちなみに石碑を左に進むと神社の駐車場とキャンプ場がある。
・路面状況について
また路面が荒れている部分も多く、木の枝や木くずが散乱していたり舗装が割れている部分や落石跡もあるので、坂で呼吸が苦しくなっていると思うが、できるだけ前を向いて事前に路面の把握に努めよう。
景観としては中盤までは広葉樹やスギ林の中を進んでいくので開ける部分はないが、峠の終盤には秩父のシンボル武甲山を望むことができる。
・その他
さて石間峠の紹介はこれで終わりとなるが、峠の途中で面白い坂を見つけたので紹介しよう。まずは動画でご確認いただきたい。
距離は800mながら区間平均勾配は15%、最大傾斜35%という坂である。
登りきったところに「天空のおやき」というものが販売されていたので、勝手ながら「天空のおやき坂」と命名させていただいた。(残念ながら店員不在によりおやきは食べられなかったのだが。。)
この坂の凄さは最大傾斜35%もさることながら直線区間で斜度が30%を超えてくるところである。
登り始めるとその斜度に最初は笑ってしまうこと請け合いだ!
坂の上から見ると下が見えなくなっているほどだ。
正直、子ノ権現のラスト区間より厳しいといっても差し支えないだろう。
Stravaにルートも登録したので、まだこの坂を知らなかったという激坂マニア、天空のおやきが気になるという方には是非チャレンジしていただきたい。(ちなみに私は楽しくなって2回登ってしまった)
坂バカ度:★★★★★★★★★☆
景観: ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
路面状況:★★☆☆☆☆☆☆☆☆
補足情報となるが、この石間峠の麓には椋神社(むくじんじゃ)という神社があり、毎年この神社のご神体に捧げる龍勢祭りというものが行われるそうだ。
龍勢は竹に火薬を詰めた筒を取り付けて飛ばす大きなロケット花火のようなもので、全国的に見ても変わったお祭りのようである。(ロケット好きとしては一度祭りを見てみたい!)
またこの龍勢は、秩父を舞台にしたアニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」にも取り上げられており、椋神社と龍勢の発射台は地元民だけでなく、ファンにも親しまれているようだ。(私もこのアニメはとても好きだ!)
道の駅龍勢会館も「あの花」に染まっていた。
自転車に乗っているとあまり観光地に行くことも少ないと思うが、その機動性をいかしてこういった場所を訪れてみるのも良いかもしれない。「あの花」ファンやロケット好きには一度訪れて欲しい場所だ。
ちなみにトップ画像は吉田町に入るところにある怪しげな看板なのだが、坂道がメルヘンでディズニーランドならぬデスランドへの入口を暗示しているものと思われる。