今回紹介するのは、長野県の中南部に位置する陣馬形山(じんばがたやま)のヒルクライムルートについてだ。
陣馬形山は、戦国時代には武田氏の狼煙台が置かれた山として地元では親しまれている。
頂上には展望台とキャンプ場があり、伊那谷と北アルプスをパノラマで楽しむことができ、夕陽や夜景、雲海などの展望スポットとしても有名だ。
特に最近では「ゆるキャン△」というキャンプアニメにも登場したことで、キャンプ場の知名度は高くなっており、アクセスのしづらい立地ながら人気の観光地となっている。
また、昨年から「信州なかがわ陣馬形山ヒルクライム」というヒルクライムレースが開催されるようになっており(昨年は悪天で中止)、自転車乗りからも注目度の高まりつつあるコースと言えるだろう。
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・峠スペック
坂バカ度:★★★★★★★★☆☆
景観: ★★★★★☆☆☆☆☆
路面状況:★★★★★★★☆☆☆
距離
10km
最大標高差
895m
平均斜度
全体:8.9%
上り:9.7%
下り:4%
獲得標高
上り:894m
下り:4m
・補給ポイントについて
スタート地点は、県道18号線から陣馬形山へ分岐する交差点からとする。
頂上までは10㎞と比較的短いが、その分勾配はきつい傾向にある。
前述したヒルクライムレースとは、スタート地点が異なるので注意してほしい。
レースの場合は、中川文化センターという施設からのスタートとなる。(コース図)
・ラストコンビニ
コンビニは、コース上や近くには存在していない。
最も近いコンビニは、スタート地点から3㎞離れたファミリーマートとなる。
なおコースの途中には、ベースキャンプコーヒーというカフェがあり、コーヒーの他、人気のスープカレーを食べることができる。
・ラスト自販機
自販機は、スタートして800m程進んだところにある自販機が最後だ。
この先は、コースを外れない限り水分補給のポイントはない。
・実走レビュー
スタートして、最初の2㎞は平均7%ほどの勾配となる。
勾配変化はそれなりにあり、5~9%前後で推移する。
それほどきつくはないものの、ここで頑張りすぎると中盤以降がつらくなるので、気持ちの良い速度くらいで走るようにしよう。
2㎞地点を過ぎると、ここからは700m程の区間でほぼ平坦となる。
タイムを狙うなら速度を上げたいが、この先の区間はきついので、足つき無しを狙うサイクリストはここでしっかりと脚をリセットしておきたい。
勾配が上がって左手にベースキャンプコーヒーが見えてきたら、その先の交差点を右折だ。
道なりに進まないように気を付けよう。
また、ここからは分岐が多いが、基本的には陣馬形山への看板があるので、迷うことはないだろう。
交差点から風三郎神社という神社がある交差点までの2.3㎞区間は、平均12.2%の勾配となるこのコースの最難関区間だ。
基本的に10%を下回ることはほとんどなく、最大勾配は17%を超えてくる。
一応階段状の登りになっており、長めの急勾配区間と短い暖勾配が繰り返されるが、とにかく距離が長いので体力的にも精神的にも辛い。
特に後半の1.2㎞区間は、平均で15%近い勾配となる。
今まで色々な峠道を走ってきたが、これほど長い急勾配の続く坂は比較的珍しい。
なお、区間途中に50m程の未舗装区間があるが、この区間はヒルクライム大会のある9月下旬までに修繕されるだろう。
なんとか風三郎神社の交差点まで来たら、これを左折だ。
なお風三郎神社まで来れば、コースの半分を進んできたことになる。
風三郎神社から600mの区間は、4%程度の勾配になる。
激坂で上がった心拍を落ち着ける区間として利用しよう。
600m程進んだら、分岐が現れるので、これを右に進もう。
ここから再度勾配はきつくなる。
分岐から7㎞地点までの1.3㎞区間は平均13%弱と、先ほどよりはマシになるが、やはり体力的にはきつい。
この区間は多少の勾配変化はあるが、コンスタントに13%程度の勾配が続く。
ただ前半の激坂区間を越えて来た身からすると、錯覚もあり13%の坂を単体で登るより精神的には楽だ。
7㎞地点に近づくと勾配は緩み始め、700m程の区間は8%程度まで勾配が落ちる。
ここでもう一度休むことができるだろう。
勾配がきつくなり始めると、9㎞地点までは10%超の勾配が続く。
ただ感覚的には、頂上に向けて勾配が少しづつ緩くなっていく感じがある。
9㎞地点にヘアピンカーブが現れる。
ここまで来れば、頂上までは残り1㎞だ。
脚があれば、ここからラストスパートを掛けたい。
ヘアピンカーブを過ぎると勾配は緩くなる。
2回グッと登るが、今まで程の登りではなく距離も短い。
アンテナが見えれば残りは300mだ。
最後のきつい坂を登り切った所がゴールだ。
・頂上施設について
頂上にはキャンプ場の入り口があるので、キャンプ場に入ってみよう。
キャンプ場には湧水の水道(煮沸推奨)の他、綺麗なトイレも完備されている。(以前はボロボロだったが改修されたようだ)
また、キャンプ場の先に展望台があり、ここから伊那谷を一望できる。
展望台までは階段になっているが、自転車も押して登れる。
早朝や雨の後には運が良ければ雲海を見ることもできる。
自転車で走るルート上は、木に囲まれており景色がいいわけではないが、展望台まで来れば登ってきたご褒美の様な景色を見ることができるので、陣馬形山に登ったら展望台まで来ることをお薦めする。
・路面状況について
前半の激坂区間はコンクリート舗装だが、それを除けばアスファルト舗装となっており良好だ。
ただし、グレーチングと舗装の段差が大きなところやグレーチングにタイヤの挟まる隙間のある箇所があるので、注意してほしい。
・その他
頂上のキャンプ場は、設備が綺麗で展望が良い上に、なんと無料で利用できる。
そのため、平日でもキャンパーがいる人気のスポットだ。
連休などはサイトが埋まってしまう可能性もあるので、ヒルクライムとキャンプの両方を考えている場合は早めの到着を心掛けたい。
また麓には望岳荘という宿があり、日帰り入浴(400円)が可能なので、ヒルクライム後のひと風呂にはちょうど良い。
個人的には、自動車で田切の道の駅まで行き、ヒルクライム→望岳荘でお風呂→陣馬山でキャンプというプランなんて、贅沢な週末を過ごすことができて素敵だと思う。